精神分析の正しい理解のために

向井雅明氏著書「考える足より」より抜粋。患者の主体的変革こそ精神分析独自の営みだと述べてきたが、それは悟りを開く修行のようなものでは決してない。時に、禅寺に入るような心ずもりで分析家のもとを訪れる人もいるが、その場合、最後まで分析をやり通す事は難しいだろう。分析は現世の煩悩を断ち切るものでも、人生を捨てて超越して生きることを目指すものでもないからである。精神分析はその逆に、患者が自分の人生を捨てず、引き受けられるようにするために存在している。