介護日記「尊厳とは」結城美帆子

いつもだったら私が母の手を離そうとすると握り返してきてましたが、昨日は握り返してきませんでした。私の名前もわからないようでした。人間は、頭で生きているのですね。人間の脳ってすごいですね。心も脳なのですね。だから、脳を鍛えないとダメなのですね。脳が壊れたら、心も何もないのですね。人間は、脳で生きているってことなのですね。脳は血液が送り込まれてこないと死んでしまうから、血液を送り出す心臓も大切という事なのですね。精神分析では、欲望を失えば死が訪れると言われているようですが、母は以前のように「もっと生きていたい」と言わなくなりました。「お赤飯が食べたい」とも言わなくなりました。医学の進歩はすごいと思いますが、人間の生きる意味を考えるならば、介護が大変だからという理由で親を一色単にまとめて施設で最期を迎えさせるというのはいかがなものであろうか?確かに、自分の人生と言う事もあるであろうが、親の存在がなければ自分はこの世に存在していないのだから、親を施設に追いやって自分の人生と言うのはおかしな事ではあるまいか。自分の親を一人介護できなくて人様にものを教える事ができるであろうか。色々な事があるのが生きていくと言う事ではないのか?